ローバー75の良い所と残念な所を書いてみる

75のユーザーになって約4年、6万キロを走りました。

私なりにこの車の長所と短所をレビューします。あくまで1ユーザーとしての感想です。車に関する専門知識はない素人ですので、その点ご了承下さい。


私の車について

2005年式、ローバー75ツアラーです。

どんな車なのかについては、プロの方が書いたこちらの記事をご参照ください。



なんでこの車を買ったのか

75のデビュー当初は高校生でした。「なんて格好良い車なんだろう!だけど豪華すぎて若造には乗れないな」が最初の感想です。これまで見たどの車にも似ていない、しかし様式感のある華のあるスタイルに魅力を感じました。ただ、500万円を超える車を高校生が買えるはずもなく、いつか機会があったら乗ってみたいなと思っていました。

そんな私もいつしかアラフォーになり、愛車遍歴も10台に迫ってきました。ここらで昔憧れた車に乗るのもありかな?と思ってローバー75をネット検索をしてみたところ、現状渡しを条件に二束三文で売りに出されていた個体を発見し、見に行ったその日に即購入したという経緯です。もちろん、その後それなりにお金がかかりました。


これまで所有した車

これから書く長所と短所は単なる素人(私)の感覚にすぎませんが、それは以下の車との比較によるものになると思いますので、一応記載します。

・ユーノスコスモ 13BタイプSX

・日産キューブ(初代)

・ボルボ240セダン(1993年式240GLE)

・ボルボV90 3.0クラシック

・トヨタ ビスタアルデオ

・ベンツCクラスワゴン(S203 C200コンプレッサー)

・ボルボ240ワゴン(1992年式240GLE)

・トヨタ セルシオ(30前期)

・スズキ アルトラパン(初代)

・ローバー75ツアラー

個人的にボルボの波長が合ったようで、3台乗りました。中でも240は2台乗りましたが乗り心地や所有感はこれまでの車の中で今でも1番です。しかし設計の古い車で走行性能には難があり、長距離ではもう少しパワーの余裕が欲しくなる車でした。同じボルボのV90は走行性能はスムーズで素晴らしいものでしたが、内装の質感やオートマ(4速)の出来は過渡期の車といった感もありました。

その点、ローバー75は、様式感を備えたクラシカルな魅力と現代的な走行性能を持っています。ボルボ240とV90の足りない部分を補い、良いところを合わせたような車であると感じています。


良い所を5つ

①絶妙な寸法

全長4800mm 全幅1780mm。これは一昔まえのクラウンくらいの大きさで、同クラスの最近の新車からすると小ぶりです。全長5mを超えない事、幅は1.8mを超えない事。日本でストレスフリーに取り回しができる最大限の大きさがこの大きさだと思います。この点、75ツアラーは絶妙なのです。

後席のシートを倒すと荷室がフラットになり、私(身長179cm)がちょうど足を延ばして寝られるサイズです。年に何度か車中泊をする私にとって、4800mmという全長は最低限必要でもあり、かつ、これ以上では困るというジャストなサイズなのです。

そして、幅が1800mm以上になるとセスナを飛ばすために大利根飛行場に向かう狭い土手沿いの道で、すれ違いに不安が出てしまいます。


②内装の質感、特にハンドル

運転中手に触れるところは大体ウッドかレザーです。特にステアリングは車の見た目とは裏腹に太く、重い操作感のもので、最近の洗練された車に比べて野暮ったさも感じますが、今となってはそれが貴重です。特に持ち手の部分がウッドでできたステアリングは長時間握っていても体温で熱くなりにくく、私は好きです。(セルシオもそうでした、ただ細かったですが)

また、昨今のカーレビューでよく聞く内装部材の「ハードプラ」「ソフトパッド」についてですが、それで言うと75の内装はほぼウッドかレザーです。ダッシュボードからドアの下半分、アームレスト、センターコンソールに至るまでレザーが貼ってあり、今同じ車を作ろうと思ってもコスト面で難しいだろうなと感じます。ドアノブはメッキです。分厚く質の高いレザーシートにはパイピングがあしらわれています。昔ながらの英国のクラフトマンシップここにあり!といった感じでしょうか。

余談ですが、75の先祖にあたるP5Bとのデザイン上の共通点も内外装ともに多いようです。見る人が見ると、いかにもローバーだよねと思うものなのでしょうね。


③贅沢でキャラクターのあるエンジン

ホンダ製に間違われやすいですが違います。ローバー製のV6、2.5(177ps/6000rpm、240nm/4000rpm)です。ランドローバーディスカバリー等にも搭載されていたようですね。4気筒や3気筒が主流の今、V型6気筒は貴重です。

走行中は基本的に聴こえないくらい静かなのですが、耳を澄ますと一般道でよく使う2000rpm前後でヒューンと吸気?の気持ち良い音がして、4000rpmを越えたあたりで急に乾いたハモリ音がする不思議なエンジンです。これをアイシン製の5ATで操るわけですが、特に2速、3速でタイミングが合うと、心地よいエンジン音の盛り上がりと共に息の長~い加速を味わえます。あ、この瞬間があることが良い車の条件だったよね、って思います。(実際どうだかは知りません)

一方、~2000rpmくらいまでの低速トルクは細めですが、だからこそ、アクセルオンでぎくしゃくするような事もなく、モーター車のようなスムーズな発進が可能です。これは後席に乗る方にも伝わるらしく、さすが英国紳士が乗る車!って感じです。悪く言うと、信号ダッシュのような俊敏な発進は出来ません。


④意外と悪くない燃費

ハイオク指定で首都圏郊外で高速3割、一般道7割くらいで走った場合に8~9km/ℓです。高速だけだと12km/ℓくらいまで伸びます。都内の渋滞多めだと7km/ℓくらいになります。今のところ、私の乗り方で7kmを切ったことはないです。これは考え方によるのだと思いますが、このエンジン、この大きさの車でこれくらいの燃費という事で、私としては合格点です。


⑤随所に残る、いかにも乗り物を触っているという感触

これは極めて個人的な感覚なので伝わるかどうかという感じなのですが、エレガントな外観に似合わず、あらゆる操作は重めです。

例えば、しっかりグリップを握って強く引っ張らないとドアは空けられません。初めて乗る女性の多くはロックされているのか?と勘違いするでしょう。そして思い切り閉めないと半ドアになります。ガシャっと重い音がします。

ゲストとして乗り込む淑女のために紳士代わりに開閉する仕様なのだと思います。

ボルボやベンツよりも重くて金庫のようなドアです。嫌いな人は嫌いだと思います。ウインカーもワイパーもレバーをしっかりガチャっと入れるタイプです。

集中ドアロックも、ボタンを押した瞬間にバシュン!と閉まります。あまりにしっかり閉まるので初めて乗った時に驚きました。ステアリングは重く、これも初めて乗った時に驚きました。

その他にも、昔ながらのメーター類、正確無比な時計、しっかり触れる大きめのボタン類など、昔ながらの車を操作しているような感じがあり、子供の頃憧れた、大人になったら乗れる乗り物といった風情があって気に入っています。


残念な所を5つ

①停止する瞬間のブレーキ特性

これは仕様なのだと思いますが、どんなに優しく踏んでも、停止直前に力を抜いても、今止まったよ!と伝えてくる挙動があります。キュっと音が鳴るわけではないのですが、ほんの少しカックン感が出てしまうんです。確かベンツもそうだったと思います。ボルボはいつ停止したのか解らないくらいスムーズに停止できました。雪道やアイスバーンではボルボの仕様の方がスリップしにくいと思いますし、私の好みはボルボのブレーキです。思想の違いですね。


②垂れやすい天井、劣化しやすいプラスチック

覚悟はしていましたがご多聞に漏れずといったところです。経年劣化で垂れてきます。もうちょっと劣化しにくい素材にするとか、強い接着剤を使うとか、何とかならなかったのかなという感じです。現状は特に気になるほどではないのですが、いずれ直さないといけないですね。これはローバー特有というよりは、ヨーロッパ車全体に言える弱点の1つだと思います。


③情報量が少ない

不人気車ゆえオーナーレビューが少なく、定番の故障等が解りにくい事がマイナスポイントです。

ちなみに複数の情報によるとタイミングベルトは144000kmまでに交換推奨との事でしたが、ちょうどその頃ウォーターポンプが不調となり、結局ベルトごと交換となりました。ベルトがダメになる前にウォーターポンプが寿命を迎える設計なのだとすると、いきなりベルトが切れたりコマが無くなったりでエンジンが一発アウトになる事はないでしょうから、優秀な設計だなと思った次第です。

まあ、予算に糸目をつけずに早め早めに予防整備をやっていけばよいだけの話なんですけど、なかなかそうはいかない場合もありますのでってことで。


④トロいオートマ

ノーマルモードだと、今シフトダウンしてよ!ってところでしない事が多いです。特に中低速で早めに3速に入って留まりたい癖があるようで、高速の合流などで強めに加速が欲しいときには結構強く踏み込まないとシフトダウンせず、だらしない(ジェントルとも言う)加速になってしまいがちです。Sモードに入れるとこの特性は改善して元気な車になります。要はアクセルへのツキが良くなる感じです。その代わり100キロ巡航状態で4速のままで、120キロでようやく5速に入ります。これは頂けないですね。速度域の高いヨーロッパではこのくらいがちょうど良いのでしょう。


⑤つかみにくい車幅、小さいドアミラー

私の力量と言えばそれまでなのですが、上から見たときにアーモンドや卵のようなボディ形状になっており、まっすぐ駐車するのが難しい車です。ボンネットのセンターに入っているラインをうまく使うと良いのでしょうけど。この点はボルボやセルシオは優秀で、いつでもまっすぐ停めることができました。確かベンツもまっすぐ駐車するのが難しかった気がします。

そして、これもボルボと真反対なのですがサイドミラーが小さいです。窓のラインが高めですので、バスタブに深く浸かるような運転姿勢になりがちで、体の小さい方だと視界は悪くなりがちだと思います。


ローバー75ツアラーの(私の)総合的な評価

いかにも金属で作られているというクラシックカー的な重みのある質感が良いです。馬車や帆船にも通じる内外装の様式感も、一本筋の通った美学に基づいてデザインされている事を感じられます。ただし、グローバルとは真反対に狭く深くフォーカスを当てた感があり、土の匂いのする垢抜けない感じのする車です。クラシックの作曲家でいうとドボルザークの立ち位置に近いでしょうか。

しかし、実際には今でも充分に通用する性能と使い勝手を備えた現代的な車でもあります。走行性能に限って言えば特出した部分はありませんが、巷でいわれているほどの故障もなく、トータルでは乗りやすい車という事になると思います。


とりあえずこんな感じです。また思うところがあれば書き足していきます!

ここまで読んでいただきありがとうございました。

↓私のYouTube動画です、良かったらご覧ください^^

JUNPEI FUJITA

指揮者 藤田淳平のホームぺージ。出演情報、ブログなど。

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